obisugi designとは
飫肥杉の存在は、日南にとってはきわめて日常であり、平凡であり、生活の中に当たり前にありました。
私たちは、このプロジェクトにおいて様々な領域のメンバーでチームをつくり、そうでなくなった理由を見つめ直し、何をすべきか話し合ってきました。そして今までのような、単にメーカーとデザイナーによる商品開発ではなく、飫肥杉を含めた地域そのものを発信していくことが大切だと考えました。
おおらかで素朴な飫肥杉の性質をそのまま生かし、必要以上に無理をせず、日南ならではの使い方やしつらえを生かした製品を自分たちで作っていきたいと思っています。これが"obisugi design"です。
この考え方が、私たちの日常にもう一度、飫肥杉を普通に存在させる力になると思っています。

日南と飫肥杉
宮崎県の南部に位置する日南市。旧飫肥藩の時代から400年の歴史を持つ飫肥林業の中心として知られています。この地で生産される飫肥杉は、油分が多く弾力性のある特長から良質な造船材として取引され、最盛期には国内はもちろん、韓国や中国にも大量に輸出されるなど、かつては市の経済を潤し活力を与える源となっていました。
しかし、昭和の後半に木造船の需要がなくなると飫肥林業は急速に衰退し、現在では先人達が残した広大な飫肥杉の山々は残るものの、かつて飫肥杉で発展し賑わったまちは、遠い昔になりつつあります。
そうしたなか、あるイベントを契機に飫肥杉を地域資源としてもう一度見直そうという機運が高まり、平成19年には市役所内に「飫肥杉を核としたまちづくり」を推進するプロジェクトチーム、通称飫肥杉課が誕生しました。
現在もその活動は続いており、民間と行政がそれぞれの強みを生かしながら、林業の枠にとらわれることなく、まちづくりのいろんなシーンで飫肥杉をキーワードに、様々な事業やイベントを展開しています。
「かつて栄えた」という言葉をなくすために。

   
   
油津貯木場全景(昭和10年頃):堀川の周辺は、河野家や服部家、川越家など、飫肥の代表的な山林家の貯木場として使用されました。  
   
油津貯木場における”山の幸” 『南日向大観』昭和10年所収